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無電柱化-むでんちゅうか-

無電柱化コーナー

目黒区の現状

私は、平成27年第2回定例会(6月18日)において、区内における無電柱化について、特に洗足地区の計画と課題について質問をし、区長から下記の答弁をいただきました。

(区長答弁)「現在、原町1丁目・洗足1丁目地区、目黒本町5丁目地区の2地区では東京都と連携した不燃化特区事業に取り組んでいるところ(中略)、洗足駅前の区道は、駅前であることに加え歩道が設置された幅員の広い道路となっています。そのため、地中化整備路線の中で優先路線として選定しており、歩道のバリアフリーにあわせて地中化を進めていくこととしています。しかし、歩道内にイチョウが植栽されていることから、根による埋設物への影響調査や電線管理者と地中化の方法について検討を行う必要があります。」

今回は、区長の答弁にもある洗足駅前や目黒本町5丁目などの現状を皆様にも写真で知っていただきたいと思います。

【洗足駅・西小山駅近辺】

駅前通りはイチョウ並木がきれいですが、電柱・電線もたくさんあります。
区長の答弁にもあったとおり、歩道には立派なイチョウが電柱と共にあります。
これにより歩道が狭くなり、歩行者の通行の支障となっているようです。
イチョウと電柱だけでなく、道路標識も加わり、地上も空も大混雑です。
一方お隣の西小山は、商店街の空を見上げるとこちらも電線で凄いことになっています。
商店街で上を向く方は少ないでしょうが、見上げるとこのような状態です。
道路が一本かわると、西小山駅付近もこのように無電柱化されています。スッキリですね!
でもの写真のように、植木の横には緑色の地上変圧器(トランス)があります。無電柱化してもこのトランスは必要なため、トランスを置く場所の確保も課題となります。他の自治体では、個人の方の土地にトランスを目立たない色にしたり植栽で隠すなどして置かせてもらっています。またトランスにラッピングやキャラクターデザインを施して違和感がないようにするなど様々な工夫がなされています。

【目黒本町5丁目】

道路にはみ出している電柱は、災害時の支障となりそうです。また、電柱の後方に見える黄色と黒色の長細いものは、支線といって、電柱が傾斜しないように支えているワイヤーとその防護カバーです。この支線も災害時には支障となりそうです。
狭い路地にも電柱はニョキニョキと立っています。
狭い道の角にも電柱が立っています。

洗足駅前のように歩道が広ければ無電柱化もできますが、狭い道では地上変圧器を置く場所がないなどの理由で難しいのが現状です。しかし、狭い道でも、電柱の移設や配線方法の変更など様々な工夫により無電柱化が可能なケースもあるはずです。景観上の問題から無電柱化を推進することも大切ですが、木造住宅密集地域のある目黒区だからこそ、何よりもまず防災力の向上と災害時の安全確保の観点から無電柱化(地下埋設、移設、配線方法の工夫など)を推進するべきであると考えています。

緊急輸送道路上の無電柱化の推進

平成27年12月25日、国土交通省道路局から、緊急輸送道路上の電柱占用の取扱いについて、通達及び事務連絡(運用と解説)が出されました。
これによって、緊急輸送道路上の無電柱化が推進されることになりますので、その内容をご紹介します

まず、緊急輸送道路とは、どのような道路のことをいうのでしょうか?

緊急輸送道路とは、地震直後から発生する緊急輸送を円滑に行うため、高速自動車国道、一般国道及びこれらを連絡する幹線道路と知事が指定する防災拠点を相互に連絡する道路をいいます。

下図の赤・青・黄の路線が緊急輸送道路です(東京都耐震ポータルサイト緊急輸送道路より抜粋)。目黒区内では、目黒通りや山手通りなど大きな道路が該当します。詳細な地図は、東京都のホームページをご覧下さい。

ここで、そもそも論を少し。なぜ電柱は道路上にあることが多いのでしょうか?

電柱は、個人の方の土地か、国や地方公共団体の土地(たいていは「道路」です。)のいずれかに建てることになります。

ただ、なかなか個人の方の承諾を得ることは難しく、また建てた後の保守管理等の理由から、道路に建てられることが多いのです。

そこで、道路法が登場します。

道路に電柱を建てることについて、道路法では、どのように定められているのでしょうか?

道路に電柱を建てるには、道路管理者(国・地方公共団体等)の許可(占用許可)が必要です。

ただし、電気を送る電柱等については、電気事業者等から占用許可申請があった場合には、法定基準に適合している限り、道路管理者は占用許可をしなければなりません。つまり、イヤとは言えないのです。

さて、本題に戻りましょう。今回の通達は、どうして出されたのでしょうか?

阪神淡路大震災で、電柱が倒れ道路をふさぎ、緊急車両等が通れなかったことなどを契機として道路法が改正されました。改正道路法では、「災害が発生した場合における被害の拡大を防止するために特に必要があると認める場合」等においては、電柱による占用を禁止する道路の区域を指定することを前提として、道路管理者に道路の占用を禁止・制限することを認めました。

これを受け、今回、災害が発生した場合に緊急輸送道路としての機能を全うさせるため、緊急輸送道路での道路占用について、その運用が定められたのです。

それでは、通達の主な内容をご紹介します。

平成28年から、緊急輸送道路について、道路上における電柱の占用が禁止されます。つまり、緊急輸送道路に新たに電柱を建てることは認められないということを意味します。

ただし、既に建っている電柱は、当面の間占用が認められますので、存続し続けることになります。

以下の①、②の場合であって、ただちに緊急輸送道路外に用地の確保ができないと認められる場合は、新規であっても、仮設の電柱の設置は認められます。ただし、上記のような既存の電柱とは異なり、仮設の電柱の設置(存続期間)は原則2年間とされています。
①災害または事故が原因で、現に供給されていた電力・通信サービスが途絶えた場合
②宅地開発または商業施設や工場の新規建設等が原因で、新たに電力・通信サービスが必要となった場合

電柱による占用を禁止する道路の区域を指定しようとする場合には、地方ブロック無電柱化協議会を活用するなどして、あらかじめ関係地方公共団体の防災担当部局、電気事業者、電気通信事業者等の関係事業者及び防災に知見を有する有識者等の意見を聴取しなければなりません。

 通達の概要は以上のとおりですが、最初にご紹介した通り、緊急輸送道路は、国道やそれに連絡する幹線道路等ですので、この通達の適用範囲は限定されています。

 一方で、2020年の東京オリンピックに向け、無電柱化の機運は高まっています。政府・与党は、2016年度から新たに地中に埋めた電線やケーブルに係る固定資産税を4年間にわたって3分の2にするなど、無電柱化を税制面で後押しすることにしています。
 また、私が前職時代に携わっていた自民党の無電柱化推進法も、1月4日から開会されている通常国会に議員立法として提出される予定です。

 このように無電柱化が推進されることは喜ばしいことです。ただ、東京オリンピックのために景観上の無電柱化だけが推進されるのではないか、防災上の観点からといっても幅の広い道路だけ無電柱化されるのではないかと感じており、私が取り組んでいる「防災力の向上と災害時の安全確保の観点からの無電柱化」が後回しにされかねないと危惧しています。木造住宅密集地域のある目黒区だからこそ、この観点での無電柱化についてもしっかりと取り組んで参ります。

 この緊急輸送道路上の電柱の新設禁止は、平成29年6月に東京都が無電柱化推進条例を制定し、都道での電柱の新設を禁止したことを契機として各地へ広がっていきました。マスコミ調査によれば、2018年6月末時点で、24都府県・39市町村、合計63の自治体が緊急輸送道路などでの電柱の新設を禁止しています。

東京都無電柱化推進条例

私が前職時代に携わった無電柱化推進法(平成28年12月9日成立・16日施行。以下「法」)に続き、都道府県初*1の東京都無電柱化推進条例*2(以下「条例」)が平成29年6月7日に成立し、9月1日から施行されることになりました。今回はこの条例の概要をご紹介します。

私はこれまで、木密地域の防災力向上のための無電柱化、地域振興・美観向上の観点からのトランスボックスのラッピング化などを実現するよう、区議会で質問・提案してきましたが、この条例によって都道の無電柱化は一定程度進展すると思います。同時に区道の無電柱化も進展してほしいと期待しますが、区道の無電柱化はまだまだ厳しい状況と言わざるを得ません。

これからも区道の無電柱化を推進して、防災力向上と地域振興に取り組んで参ります!



東京都無電柱化計画

6月2日の都議会において都知事は上記のように答弁しました。私は昨年12月の法概要をご紹介したブログで述べ、また区議会で質問・提案していますが、法に定められている区市町村の計画策定努力義務、今回の条例の区市町村との連携、そして都知事の答弁を踏まえると、目黒区も都と連携して区道の無電柱化を加速するため、目黒区「電線類地中化整備基本方針」を見直すとともに、区道を対象にした東京都と同じような目黒区無電柱化推進条例を定める必要があると考えています。この点については、今後も区議会で具体的に質問・提案して参ります。

また、無電柱化したくても資金面で苦労している区市町村にとっては、都知事答弁の「財政的な支援」は非常に有難いものです。問題はその内容と実現可能性ですが、東京都建設局は、意見募集における「都の考え方」で、「今後策定する条例に基づく無電柱化計画の中で、区市町村に対する支援について位置付けるよう検討してまいります」と表明していますので、大いに注目していきたいと思います。


無電柱化の推進に関する施策

条例に定められたもののうち、主なものをご紹介します。

都は、都市防災機能の強化、安全で快適な歩行空間の確保及び良好な都市景観の創出を図るために、道路について、道路法第37条第1項の規定による道路の占用の禁止又は制限その他無電柱化の推進のために必要な措置を講ずるものとする。


○道路法第37条第1項とは次のような規定です。
道路管理者は、交通が著しくふくそうする道路若しくは幅員が著しく狭い道路について車両の能率的な運行を図るため、又は災害が発生した場合における被害の拡大を防止するために特に必要があると認める場合においては、第三十三条、第三十五条及び前条第二項の規定にかかわらず、区域を指定して道路の占用を禁止し、又は制限することができる。

○この条例により、東京都は都道の道路管理者として都道の占用を禁止・制限することになり、都道における電柱の新設が原則禁止されることになります。

○都道に既にある電柱の占用は禁止されるのでしょうか?この点については、小林かなこ公式HPでご紹介している緊急輸送道路(主に国道)における電柱新設禁止規制と同様であると思います。すなわち、この規定はあくまで都道における電柱の「新設」を禁止するものであって、既に占用許可を得て都道に建っている電柱の占用許可を取り消すものではありません。

○したがって、この規定には都道において電柱がこれ以上増えないようにする効果はありますが、既にある電柱を撤去する効果まではなく、それは次の規定とその実効性によることになります。

○関係事業者は、社会資本整備重点計画法第2条第2項第1号に掲げる事業(道路の維持に関するものを除く。)、都市計画法第4条第7項に規定する市街地開発事業その他これらに類する事業が実施される場合には、これらの事業の状況等を踏まえつつ、電柱又は電線を道路上において新たに設置しないものとする。

○関係事業者(注;道路上の電柱・電線の設置又は管理を行う事業者)は、前項の場合において、現に設置し、又は管理する道路上の電柱又は電線の撤去を当該事業の実施と併せて行うことができるときは、当該電柱又は電線を撤去するものとする。


○社会資本整備重点計画法第2条第2項第1号に掲げる事業とは、道路の新設・改築・維持・修繕に関する事業をいいます。また、都市計画法第4条第7項に規定する市街地開発事業とは、①土地区画整理事業、②新住宅市街地開発事業、③工業団地造成事業、④市街地再開発事業、⑤新都市基盤整備事業、⑥住宅街区整備事業、⑦防災街区整備事業をいいます。

○上記の事業において都道における電柱・電線の新設禁止と、一定の場合における既存の電柱・電線の撤去が行われますので、都道の無電柱化の推進に寄与すると考えられます。

○ただし、「これらの事業等の状況等を踏まえ」がどのように解釈・適用されるか、既存電柱・電線の撤去を「当該事業の実施と併せて行うことができるときは、当該電柱又は電線を撤去する」ということをどのように担保していくのかなど課題があると考えています。

○この点について東京都建設局は、意見募集における「都の考え方」で、「都内で実施される様々な事業の機会を捉え、電柱又は電線の設置の抑制及び撤去することを目的としております。」と意見に対する回答としてはよく分からないことを述べており、今後定められる計画の中でどのように手当されるのか注目していきたいと思います。


都及び関係事業者は、電線を地下に埋設する簡便な方法その他の無電柱化の迅速な推進及び費用の縮減を図るための方策等に関する調査研究、技術開発等の推進及びその成果の普及に必要な措置を講ずるものとする。


○マスコミ報道では「都道の電柱新設禁止」ばかりが注目を集めましたが、この条例では電柱がこれ以上増えることを防げても、電柱を大幅に減らすことは難しいと思われます。電柱を大幅に減らすためには、単に関係事業者に電柱・電線を撤去せよと言っても実効的ではなく、いかに無電柱化のコストを低減するかが重要です。


○無電柱化は1km当たり5.3億円(国交省資料より)かかります。この費用は国・自治体・関係事業者等で負担しますので、無電柱化費用が高ければ、いくら法や条例で定めても、無電柱化費用が潤沢にあれば別ですが、そうでない以上、現実問題として無電柱化の距離は伸びません。

○技術開発は当然のこととして、昼間に工事をして夜に埋戻し朝にまた掘り返すコストがかかる工事をしている現状を見直す規制緩和をするなど、総合的な「無電柱化の迅速な推進・費用の縮減を図るための方策」が実は大変重要で有効なのです。


都民の声

東京都は条例制定にあたり意見募集をして都の考え方を公表していますので、その一部をご紹介します。

意見 都の考え方

○消防署出入口、広域避難場所出入口など発災時の対応に直結する場所を優先するために、都市防災機能強化を優先する考えを明確に条例案に記す。

○無電柱化は都市防災機能の強化、安全で快適な歩行空間の確保及び良好な都市景観の創出を目的としており、都市防災機能の強化は優先的に取り組んでまいります。

○「これらの事業の状況」、「当該事業の実施に併せて行うことができるとき」とは何か。条例は例外や抜け道が生じないように作るべき。

○「道路上の既設電柱又は電線の撤去を当該事業と併せて実施できるときは、当該電柱又は電線を撤去する」は、後ろ向きな印象を受ける。やらなくても何とでも逃げられるような書き方は絶対にしないでいただきたい。「速やかに」「全て」の都道の電線及び電柱を撤去すると記載してほしい。

○都内で実施される様々な事業の機会を捉え、電柱又は電線の設置の抑制及び撤去することを目的としております。

○都の責務に「工法の説明を都民に行う」を追記するとともに、無電柱化計画は「住民に説明を行う」を追記すべき。

○また、都民に対し、都の施策への協力を求めるのであれば、情報公開に努めるべき。

○今後策定する条例に基づく無電柱化計画は、策定及び変更時に都民への意見募集を行うとともに、計画を公表してまいります。

○また、事業実施に当たっては、都民の皆様のご理解とご協力を得られますよう努めてまいります。

○条例では電線のみを対象としているが、実際の交差点には信号機の架空線も残っている。この点も触れるべき。

○本条例では対象外でありますが、条例に基づく無電柱化計画の中でその取扱いについて定めるよう検討してまいります。

○無電柱化は地下の浅い層に埋設されることから、日常的な道路工事などによるケーブル切断事故などのリスクや電気・通信の重要ケーブルの切断を狙ったテロの危険性も高まるため、「無電柱化後の地下埋設物設備の安全」についての項目を追加する必要がある。

○調査研究、技術開発等の中で、安全の視点についても検討を進めてまいります。

以上

歩道のバリアフリー化と
国の無電柱化推進計画

歩道のバリアフリー化へ、道路法が改正! 2018.3.30

○下の写真をご覧下さい。左の写真は国土交通省HPからですが、子供たちが歩道の電柱を避けるため車道へ出てしまっています。右の2枚の写真は、歩道の真ん中に電柱があるため、歩行者や自転車が擦れ違えず、電柱が歩行・通行の支障になっています。

○2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、駅など公共施設だけでなく、道路のバリアフリー化の推進が求められています。その中でも特に、幅員が狭い歩道の電柱等が歩行者や車いすの安全・円滑な通行を阻害しているため、この状況などを解消すべく、平成30年3月30日に道路法が改正されました。

○歩道の電柱は、電力会社やNTTが道路法上の占用許可を取得して建っています。今回の改正により、「幅員が著しく狭い歩道」について、道路管理者が電柱の占用を禁止・制限できるようになりました。

道路法第37条

道道路管理者は、次に掲げる場合においては、第三十三条、第三十五条及び前条第二項の規定にかかわらず、区域を指定して道路(第二号に掲げる場合にあっては、歩道の部分に限る。)の占用を禁止し、又は制限することができる。

  • 一 交通が著しくふくそうする道路又は幅員が著しく狭い道路について車両の能率的な運行を図るために特に必要があると認める場合
  • 幅員が著しく狭い歩道の部分について歩行者の安全かつ円滑な通行を図るため特に必要があると認める場合
  • 三 災害が発生した場合における被害の拡大を防止するために特に必要があると認める場合

○たとえば、区道の道路管理者である区長が、電力会社やNTTに対して、現在は認めている電柱の道路占用を認めないことが可能となります。そうなると、電力会社やNTTは歩道に電柱を建てることができなくなり、歩道から電柱を抜かなければなりません。国土交通省は、現在有効な占用許可を取り消すといった強硬手段ではなく、現在の占用許可の有効期間(通常は10年間)が切れた電柱の占用許可更新を認めない形で無電柱化を進めていくつもりで、詳細について通達を出す方向で調整しています。

○ただし、この法律の実効性には一つの課題があります。それは、無電柱化しても、電力供給のために地上にはトランスボックスなどが必要ということです。狭い歩道に右の写真のようなトランスボックスが設置されれば、電柱以上に歩行・通行の支障になってしまいます。このため、歩道に隣接している店舗や住宅などの敷地にトランスボックスを入れる必要がありますが、自分の土地に入れることを嫌がる人は多いでしょう。これを打開するためには、行政、事業者に地元の方々を加えた三者が一体となって、歩道の無電柱化を話し合って進めていく必要があります。



国の無電柱化推進計画が策定! 2018.4.6

平成30年4月6日、ようやく、無電柱化法で義務付けられた国の「無電柱化推進計画」が策定・公表されました。概要は国土交通省HPによくまとまっているものがありますので、そちらをご覧下さい。
ここでは、私が特に重要だと感じた2点をご紹介したいと思います。

→私の住む地域を始め、目黒区には木造住宅密集地域が数多く存在します。これまでも防災力向上のため木密地域の無電柱化が最優先と区議会で主張し続けてきましたが、国の計画で明定されたので、目黒区でもそれに沿った計画とするよう、引き続き区議会で要望して参ります!

→無電柱化のために最も重要なことは、「予算」と「すべての関係者が協力すること」です。防災力向上のため木密地域を無電柱化する場合、トランスボックスを道路上に設置すると避難や救助等の支障になるので、民地に入れる必要があります。しかし、誰もが必要な設備であると思うものの、自分の所には入れないでほしいと言ってしまうと、無電柱化は頓挫してしまいます。 このため、地元の合意形成の円滑化のため、地元関係者との協議会設置は、無電柱化の推進にとって非常に有用であり、この点を国の計画で明確にしたことは、後続の都道府県・区市町村の無電柱化計画でも同様の内容が明記されるインセンティブとなるため、大変意義があります。

無電柱化の加速

 無電柱化の推進は、平成30年4月策定の国の「無電柱化推進計画(第7期)」において、平成30年度から3年間で約1,400kmと過去最大実績相当で進捗することとなっています。

 その後、平成30年夏の台風21号などによる電柱倒壊を受け、同年12月14日に開催された重要インフラの緊急点検に関する関係閣僚会議において、電柱倒壊に対応した無電柱化推進が閣議決定され、国の「無電柱化推進計画(第7期)」での数値目標にプラスする形で、2020年度末までに1,000kmの無電柱化をすることとされました。その概要については、下記の関係閣僚会議資料(抜粋)をご覧ください。

 この閣議決定により、更に無電柱化が推進する方向へ進むと思いますが、達成目標が「工事着手(地元調整等を完了)」とされている点が気になります。今回の約1,000kmの無電柱化の工程は、路線決定→現況調査→関係者調整会議→設計図作成→地元住民との調整→「工事着手」→既存支持物移設→電線共同溝本体工事→電線入溝・地上機器設置→道路復旧→無電柱化完了、という一連の長いプロセスとなる予定です。国の予算は「工事着手」までは手当される予定となっていますが、その先の無電柱化工事が終了するまでの予算が確保されているわけではありません。また、無電柱化が進まない大きな原因の一つである、区など地方自治体の予算不足を国が負担してくれるスキームにもなっていません。この閣議決定が絵に描いた餅にならないよう、しっかり注視していく必要があります。

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