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平成30年第3回定例会(第1日 9月 5日)

定例会

開催日:平成30年 9月 5日
会議名:平成30年第3回定例会(第1日 9月 5日)

○おのせ康裕議長
区政一般について質問通告がありましたので、順次これを許します。
5番小林かなこ議員。
〔小林かなこ議員登壇〕

○5番(小林かなこ議員)
私は、自由民主党目黒区議団の一員として、質問通告に基づき、区政一般に関して質問をいたします。
 初めに、ことし6月28日から7月8日にかけて、西日本を中心に全国的に広い範囲で記録された台風7号及び梅雨前線の影響による集中豪雨では、221名の方が犠牲となる甚大な被害が発生しました。亡くなられた方々に心より哀悼の意を捧げるとともに、被災地の一刻も早い復興をお祈りし、私たちにできることをしっかりと形にしてまいりたいと思います。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 第1点目、児童虐待防止に向けた区の対応について伺います。
 児童虐待には、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト及び心理的虐待などがあり、従来から制度改正や関係機関の体制強化などにより、その対応の充実が図られてきました。
 厚生労働省は、児童虐待の防止に向けて、児童虐待の発生予防、児童虐待発生時の迅速・的確な対応、虐待を受けた子どもの自立支援の取り組みという段階別の対応を進めてきています。東京都も、虐待対策班及び365日切れ目のない緊急相談窓口、いわゆる通年開所の設置、民間相談機関との連携の強化など、さまざまな児童虐待対策を実施しており、児童虐待防止のための条例制定の動きも出ています。本区でも、目黒区、品川区、大田区の3区を担当する東京都品川児童相談所を初め関係機関と連携しながら、児童虐待の早期発見及び再発防止に努めてきました。
 しかしながら、深刻な児童虐待事件は後を絶たず、本年3月には本区において余りにもつらく悲しい児童虐待事件が発生し、とうとい小さな命を救うことができませんでした。
 本年6月20日の第2回定例会においては、目黒区議会議員全員一致で、児童虐待のない目黒を実現するための決議をいたしましたが、ここで改めて亡くなられた幼児に心からの哀悼の意を捧げます。
 この児童虐待事件は国を動かしました。まず6月15日、安倍総理も出席する児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議が開催され、児童虐待防止対策に関する取り組み及び目黒区の児童虐待事件に関する検証について議論されました。そして7月20日には、第2回の児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議が開催され、児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策が取りまとめられ、その中で、2016年度から2019年度までを期間とする児童相談所強化プランを前倒しして見直すとともに、新たに区市町村の体制強化を盛り込んだ、2019年度から2022年度までを期間とする児童虐待防止対策体制総合強化プランを年内に策定することとしました。
 なお、目黒区の事案の検証を踏まえて、必要な対策については、これらの対策に別途追加して取り組むとされています。
 このような状況を受け、子どもの命が失われる痛ましい事案を二度と起こさないために、児童虐待防止対策に向けた区長の考えについて伺います。
 次に、第2問目、子育て世代包括支援センター設置について伺います。
 国は、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援等を通じて、妊娠や子育ての不安、孤立等に対応し、児童虐待のリスクを早期に発見・低減するため、平成28年、児童福祉法等改正により、市区町村に対して児童等に対する必要な支援を行うための拠点である市区町村子ども家庭総合支援拠点を設置するよう努力義務を課しました。さらに、平成29年、改正母子保健法により、子育て世代包括支援センター、法律上の名称は母子健康包括支援センターですが、このセンターを設置することについても努力義務を課しました。
 子育て世代包括支援センターについては、閣議決定により、平成32年度末までの全国展開整備が進められています。厚生労働省によると、平成29年4月1日時点で、全国525の市区町村に合計1,106カ所の子育て世代包括支援センターの設置がされていますが、本区ではまだ設置がされていません。
 一方で本区では、昨年度から「ゆりかご・めぐろ」を実施し、ほかの子育て支援策と連携して、妊娠期から出産・子育て期にわたって安心して子育てができるよう、切れ目のない子育て支援ネットワークの構築を目指しています。
 閣議決定及び法改正により強力に推進している国の方針・施策を踏まえ、本区における子育て世代包括支援センターの設置について、今後の進め方を伺います。
 次に、第2点目、防災について伺います。
 第1問。
 ことしは、台風がこれまでとは異なる進路をたどるなど、これまで経験したことのない気象条件の中で、平成30年7月豪雨、いわゆる西日本豪雨を初めとする水害が全国各地で相次いで発生しています。昨日の台風21号は、非常に強い勢力のまま上陸し、関西空港を機能不全にするなど、甚大な被害をもたらしました。
 国の中央防災会議の大規模水害対策に関する専門調査会報告によると、水害に対する住民の対応力向上のためには、住民が水害発生時の浸水イメージや被害イメージを正しく認識することが重要であり、国と地方公共団体に対して平時から水害発生時の対応に関する周知・広報を徹底するよう求めています。また、水害発生時に住民がみずから適切な避難行動を起こすことが重要であり、そのために自主防災組織や町内会などが実施する防災教育、防災訓練への積極的な参画などが必要とされており、国及び地方公共団体には、水害防災対応力の向上に向けた教育、訓練機会を提供することが求められています。
 本区では、河川整備だけでなく、河川水位や洪水予報等のメール自動配信、早期サイレン警報などの取り組みも行い、ハード面の対策を進めてきています。一方、ソフト面の対策としては、毎年、中目黒公園を会場とした水防訓練を実施し、水防技術と情報通信技術の向上を図っていますが、水害が起こる危険性の高い地域の避難訓練を含めた総合的な啓発はどのようになっているのでしょうか。本区でも水害が起こる危険性のある地域の町会・自治会、住区住民会議等に働きかけ、例えば水害対策を学ぶ学習会や実際の避難行動訓練など、水害に備え、地域に着目した個別的な啓発を進める必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、第2問目といたしまして、水害を想定した避難所運営の検討について伺います。
 現在、15のエリアで設置されている避難所運営協議会は、震災を想定した対応になっていると思われますが、水害を想定した対応はどのようになっているのでしょうか。地震の場合、発生後に避難所が開設されるのに対して、水害の場合は、河川の氾濫や洪水の予報等に応じて事前の避難が求められます。
 本区において、目黒川沿いの地域など、水害の危険性のある地域については、地域の理解と協力を得る意味でも、まず避難所運営協議会において水害を想定した避難所運営の検討を進めていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、第2点目の3問目として、地域避難所の暑さ対策について伺います。
 本区では、地域避難所の暑さ対策として、昨年度から大型扇風機とミスト扇風機の配備が進められています。今から7年前の東日本大震災では、厚生労働省が岩手、宮城、福島の3県に対して、避難所の暑さ対策として、エアコンを設置していない避難所にはエアコンを設置すること、設置に当たっては、1避難所1台とせず、避難所の広さや避難者数等に応じた必要台数を設置するなどして、避難者に熱中症患者等を発生させないよう全力を尽くすことを依頼しています。2年前の熊本地震の際も、内閣府が熊本県に対して、東日本大震災のときと同様に、避難所の暑さ対策としてのエアコンの設置を求めました。また、ことし7月には、西日本豪雨災害の避難所において、梅雨明け後の本格的な暑さにより、大型扇風機しか設置されていない体育館で、熱中症の疑いにより病院への搬送が続くなど、深刻な事態となりました。このため、経済産業省が各避難所へスポットクーラーや大型クーラー、扇風機などを発送し、岡山県、広島県、愛媛県には合計541台のクーラーが搬入されました。
 このように、地域避難所の暑さ対策としての主たる機器はいずれも電気機器であることから、学校の体育館など地域避難所での電源等の確保が必須です。資機材購入だけでなく、あらかじめその資機材が十分機能するような暑さ対策や施設の整備等を進める必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、第3点目として、他自治体への災害支援について伺います。
 政府は、平成30年7月豪雨、いわゆる西日本豪雨災害を激甚災害に指定するだけでなく、豪雨災害では初めて特定非常災害に指定し、支援を行っています。
 目黒区議会としては、おのせ議長の呼びかけで、7月11日、13日、31日の3日間、党派を超えて多くの議員が集まり、区内各駅において街頭義援金活動を行い、街頭だけで102万5,353円の義援金を賜りました。この義援金については、正副議長が各被災府県の東京事務所へ持参したとの報告がされました。目黒区は、地方自治法に基づく職員派遣として、今年度は気仙沼市に職員3名を派遣しており、他の自治体で災害が発生した場合には、東京都や他の特別区と協力し、被災地の自治体の意向を酌んだり要望を受けるなどして職員派遣を行っています。
 そこで、今回の西日本豪雨災害については、本区としてはどのような支援・対応を行ったのか伺います。また、ことし6月に政府が防災基本計画の一部修正を行ったことを受け、他自治体への支援体制について、現在、本区ではどのようになっているのか伺います。
 壇上からは以上です。(拍手)

〔青木英二区長登壇〕

○青木英二区長
小林議員の3点にわたる御質問に順次お答え申し上げます。
 まず第1点目、児童虐待防止に向けた区の対応についての第1問、子どもの命が失われる痛ましい事案を二度と起こさないために、児童虐待防止対策に向けた区長の考え方についてでございますが、国は去る7月20日に、児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策を取りまとめました。この緊急総合対策の中では、新たに区市町村の体制強化を盛り込んだ児童虐待防止対策体制総合強化プランを年内に策定することとしております。
 児童虐待は、子どもの心身の成長並びに人格の形成に重大な影響を与えるとともに、次の世代に引き継がれるおそれもあるものであり、子どもに対する最も重大な権利侵害でございます。また、もとより児童虐待は、家庭内におけるしつけとは明確に異なり、決して正当化されるものではございません。
 児童虐待防止のためには、第1に児童虐待の発生予防、第2として児童虐待発生時の迅速・的確な対応、第3に被虐待児童の自立支援などの対応が必要でございます。
 第1の児童虐待の発生予防については、特に母子保健事業が児童虐待の発生予防や早期発見に資するものであるということに鑑み、母子保健事業と子育て支援事業の連携を図る観点から、現在、出産・子育て応援事業として「ゆりかご・めぐろ」などの取り組みを行っております。引き続き支援が特に必要な親子への相談や助言を行うなど、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援に努めてまいります。
 第2の児童虐待発生時の迅速・的確な対応については、虐待を受けている児童を初めとする要保護児童の適切な保護を図るために、関係機関が協議を行う会議体である要保護児童対策地域協議会において調整を行う職員の一層の能力向上など機能強化を図るとともに、関係機関との連携を強化してまいります。また、将来の児童相談所の設置を見越して、子ども家庭支援センターに児童福祉司、児童心理司の候補者を配置していくほか、子どもの権利擁護などの観点から弁護士の活用の検討など、設置に向けて計画的に取り組んでまいります。
 第3の被虐待児童への自立支援については、親子関係再構築の観点から、一時保護施設などへの入所措置の解除後などの時期を捉えて、児童相談所と連携して助言や継続的な安全確保などに努めてまいります。
 現在、東京都は、都独自の児童虐待防止のための条例を制定する方向で検討を進めており、この条例には行政や保護者の責務や、各関係機関の連携のあり方などが盛り込まれると聞き及んでおります。この条例の内容とも整合を図りつつ、子どもの命を守るために最もよい体制・対応は何かという観点から、児童虐待の未然防止、早期発見、早期対応に全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、第2問、子育て世代包括支援センターの設置の今後の進め方についてのお尋ねでございます。
 国は平成26年度に、妊産婦の孤立化や不安を軽減する必要性から、妊娠・出産から子育て期にわたる切れ目のない支援を図るため、総合的支援を提供する子育て世代包括支援センターを立ち上げ、おおむね平成32年度末までに全国展開を目指すこととしています。また平成29年、改正母子保健法施行により同センターが法制化され、その設置が区市町村の努力義務とされたところです。
 本区におきましては平成29年度から、妊娠期から出産・子育て期にわたり安心して子育てができるよう切れ目のない支援を目指し、妊娠届を提出した全ての妊婦を対象に、保健師など専門職の相談員が面接を行う「ゆりかご・めぐろ」事業を実施しております。面接を通して、妊婦自身に疾患があったり育児に対する不安感が強いなど、継続的に相談や支援が必要と考えられる場合は支援プランを作成し、状況に応じて医療機関や子育て支援機関と連携するなど、支援体制の充実を図っているところでございます。
 昨年度、保健予防課及び碑文谷保健センターで実施した件数は、合計2,733人で、これは昨年度の妊娠届数の85.8%に当たります。面接した妊婦さんからは、プライバシーが守られた環境でゆっくり相談ができると好評いただいております。また、育児に役立てていただけるよう「ゆりかご応援グッズ」をお渡しするなど、面接率の向上に努めているところでございます。
 こうした妊婦面接を通して、妊娠の早い段階から心身の状況や育児環境を把握し、支援が必要な場合は適切に行えるよう、関係機関が連携して支援体制を築くことは、保護者の育児不安の軽減を図り、孤立化や虐待を防止するという観点から大変重要であると認識しております。
 子育て世代包括支援センターは主に4つの機能を有することとされ、1点目が妊産婦の実情を把握すること、2点目が妊娠・出産・子育てに関する相談に応じて必要な保健指導などを行うこと、3点目が支援プランを策定すること、4点目が保健医療または福祉の関係機関との連携・調整を行うことでございます。本区では、「ゆりかご・めぐろ」事業により妊産婦の実情を把握し、必要に応じて関係機関と連携・調整し、支援を行うなど、子育て世代包括支援センター機能を果たしていると考えます。しかしながら、「ゆりかご・めぐろ」の事業を実施する中で、地域の小児科医など医療機関との連携をさらに進める必要があること、また産後ケア事業の実施などが課題となっております。
 今後、子育て世代が安心して妊娠期から子育て期まで過ごせるよう、「ゆりかご・めぐろ」事業の一層の充実を図るとともに、関係機関と連携を図り、本区の実情に合った子育て世代包括支援センターの整備を早期に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、第2点目、防災についての第1問、水害が起こる危険性が高い地域に着目した啓発の必要性についてでございますが、本区には現在、気象庁と東京都が洪水予報を行う対象である目黒川を初め、現在、下水道幹線として暗渠化されている呑川など、過去、たび重なる水害が発生した河川等がございます。また最近では、いわゆるゲリラ豪雨と呼ばれる短時間の大雨により、下水への排水が間に合わないことによる内水氾濫も増加しております。
 この間、東京都による下水道幹線の整備を初め、目黒川における護岸改修や船入場調節池の設置、あるいは公共施設における雨水浸透施設の設置など、いわゆるハード面を中心として総合的な治水対策を推進してまいりました。その結果、現時点では、区内で1時間当たり50ミリ規模の降雨に対応している状況でございます。また、区の公式ホームページや防災メールを活用し、刻々と変わる河川の水位をお知らせするなど、区民の皆様が適切に行動できるよう、情報を発信しているところでございます。さらに、毎年実施しております本区の水防訓練におきましては、区、関係機関、区民の皆様との連携による大雨等の災害を想定した避難訓練や、要救助者の救出訓練や、土のうを用いた建物の浸水防止工法の実践などを行い、いざというときの心構えや行動について理解を深めていただいているところでございます。
 しかし、近年では、国内各地で過去に例のない大雨に見舞われ、大規模な水害が発生しております。こうした状況において、国の社会資本整備審議会では、洪水による氾濫が発生することを前提として、社会全体でこれに備える水防災意識社会の構築を基本方針として取りまとめたところでございます。各自治体におきましては、こうした考えに基づき、これまでのハードの対策とともに避難勧告等の適切な発令の推進、住民等の主体的な避難の促進など、ソフト面の対策も一体的・計画的に推進し、水害対策の充実に取り組んでいるところでございます。
 このため、本区におきましても、庁内で水害時における避難計画の検証や、現在の水防体制の課題などを洗い出すとともに、より多くの区民の皆様が水害発生時に主体的かつ適切な行動ができるよう、説明会の開催やハザードマップの作成など、意識啓発の取り組みを進めるよう検討しているところでございます。お尋ねにありました、水害の危険性が高い地域における学習会や避難行動訓練などにつきましても、今後速やかに検討してまいりたいと存じます。
 次に、第2問、水害を想定した避難所運営の検討についてでございますが、本区の地域防災計画におきましては、河川の氾濫により事前避難を必要とする重点警戒箇所等を定めております。これらの地域に危険が切迫した場合には、区が開設する地域避難所を指定し、避難勧告等、必要な勧告及び指示を行い、区民の皆様に速やかに避難を促すこととしております。台風の接近に伴う水害発生のおそれがある場合、あらかじめ避難所を開設するなど、避難所開設の判断につきましては震災発生時と異なるものでございます。
 これまで、国内各地で発生した水害におきましては、避難勧告等の発令がおくれたことにより被害が拡大した例があったことから、昨今、各自治体におきましては、災害のおそれがある場合には、速やかに避難勧告等を発令し、住民等に対して早目の避難を促す動きが加速している状況でございます。本年8月23日から24日にかけて西日本を縦断した台風20号の対応におきましても、台風が上陸する深夜の時間帯では避難行動に危険が伴うことから、日中の早い段階で避難勧告を発令した自治体もございました。
 国が公表している避難勧告等に関するガイドラインによりますと、避難勧告等の発令に当たっては、空振りを恐れず早目に出すこと。あわせて、避難勧告等の判断基準を具体的かつわかりやすい指標で明示することなどが強調されております。このことから本区におきましても、本年7月に水害発生時における避難勧告等の発令マニュアルを作成し、避難準備・高齢者等避難開始、避難勧告、避難指示、それぞれの発令基準を明確にしたところでございます。
 今後は、水害時の避難に係る考え方を広く区民の皆様にお知らせするとともに、特に避難行動に時間を要する高齢者や災害時要支援者の方々に対して、早目に避難行動を起こすよう、意識啓発の取り組みを進めてまいりたいと考えております。こうした取り組みを進めていく上では、地域避難所の運営主体となる避難所運営協議会を初めとする地域の皆様の力が必要不可欠でございます。水害時における地域避難所の運営に当たりましては、避難勧告等の発令に伴い、特定の避難所を開設する場合や避難所に向かう安全な避難経路の確保など、それぞれの避難所ごとに異なる要素も考える必要がございます。また、水害のおそれがある場合には、地域の皆様方が危険な状況になる前に避難行動をとることが何よりも重要でございます。
 このような観点のもと、平常時から避難所の運営に携わる避難所運営協議会などで水害時の避難所運営を重要な課題として御検討いただけるよう、今後は区として働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 次に、第3問、避難所の暑さ対策と施設整備の必要についてでございますが、災害時に開設する地域避難所につきましては、災害による家屋の倒壊など、被害を受けた方々の安全性を確保し、生活基盤の提供や必要な衛生環境を確保することなどの役割がございます。特に平常時とは異なる環境の中で、高齢者や乳幼児などいわゆる要配慮者の方々に向けた健康管理の取り組みは、避難所を運営していく中で大きな課題であると認識しております。
 本区におきましても、地域避難所における避難者の生活環境を少しでも良好に維持するため、暑さ対策として昨年度から順次、大型扇風機やミスト扇風機を配備するなど、機材の整備を行っているところでございます。また、本区のみならず多くの自治体の避難所につきましては、小・中学校の体育館などを中心に指定していることから、避難所の生活環境を良好に維持する十分な条件を満たしていると言えない状況にあることは自治体共通の課題であると捉えております。
 西日本で発生した平成30年7月豪雨よる水害におきましては、その後の猛暑による極めて厳しい環境の中で、いまだ2,000人以上の方々が避難所生活を送られております。こうした中で経済産業省におきましては、被災後の早い段階で、支援物資として大型クーラーやスポットクーラーの提供を公表いたしました。このような機材は避難生活の環境改善には極めて有効であることから、被災自治体において積極的な受け入れが求められるところでございます。
 一方、本区の地域避難所として活用する区立小・中学校の体育館でこのような支援物資を有効に活用するためには、お尋ねの電源の確保の問題に加え、校舎と一体で上階の2階、3階に体育館が配置されている学校もあることから、大型クーラー等の室外機を設置する際の近隣への影響など、施設ごとの課題も幾つか考えられるところでございます。区立小・中学校の体育館を初めとする多くの区有施設におきましては、臨時的に多くの電力を消費する機材の設置や大型の機材を設置するスペースの確保などを想定しておらず、今後、このような支援物資を受け入れ、活用していくためにはどのような課題があるのか、さまざまな視点から考える必要がございます。
 災害発生時の避難所の運営につきましては、お尋ねにありました暑さ対策に加え、生活環境の充実に向けた取り組み全般について、今後とも継続的に検討を進め、充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、第3点目、他自治体への災害支援についてでございますが、大規模な災害が発生した際には、区民の皆様の生命や身体及び財産に被害が生じることのみならず、区の庁舎を初め多くの区有施設が被害を受け、さらには区職員自身も被災することが考えられます。このような状況下におきましても、区は速やかに災害応急対策を遂行し、地域の復旧・復興に向けた対応を進めるため、平常時の業務に加え、新たな大量の業務を処理する必要がございます。また、本区に限らず全ての被災自治体は、災害応急対策や復旧・復興対策の主体として重要な役割を果たす使命がございます。このため、災害に伴い、施設や人員に制約が生じている状況であっても、自治体として可能な限り必要な能力を維持するため、他の自治体等に応援職員を要請し、他の自治体等がこれに的確に応えられる体制の充実が求められているところでございます。
 本区におきましては、これまでにも阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震など、国内各地の災害時に職員を派遣してまいりました。本区が被災自治体に職員を派遣する多くの場合につきましては、東京都と特別区の連携により必要な人員の配分などを行い、可能な限りの対応をしているところでございます。
 お尋ねにありました平成30年7月豪雨への支援でございますが、今年度から国は、自治体支援の偏りがないよう、被災自治体と都道府県・政令市を対にするいわゆる「対口支援」を制度化しております。その結果、東京都と特別区は、岡山県倉敷市の支援を行うこととしたところでございます。本区からは、7月21日から26日まで2名、8月1日から9日まで1名、延べ3名の職員を派遣いたしました。いずれも避難所運営業務と罹災証明発行業務に携わったところでございますが、避難所における猛暑対策、あるいは指揮命令系統の確立の重要性など、本区の災害応急対策に係る課題とも重なる経験を持ち帰っております。
 なお、本区では、遠隔地の自治体として角田市、気仙沼市、長和町、臼杵市の4自治体と災害時における相互援助協定を締結しており、特に気仙沼市に対しましては、東日本大震災以降、職員の長期派遣を継続し、現在でも3名の職員が現地の復興業務に携わっております。
 被災自治体への職員派遣につきましては、単なる業務の応援のみならず、自治体間の連携・協力のきずなを強め、職員個人においても自治体職員としての意識を高める役割を果たしているものと考えており、今後とも可能な限り対応してまいりたいと存じます。
 以上、お答えとさせていただきます。

○5番(小林かなこ議員)
 それでは、順次再質問させていただきます。
 8月31日付の読売新聞によりますと、全国の児童相談所が2017年度に対応した児童虐待件数は過去最多の13万3,778件に上り、調査を始めた1990年度から27年連続でふえ続けていることが厚生労働省のまとめでわかりました。一方、2016年度に虐待で死亡したと確認された18未満の子どもは77人に上り、関係機関の連携強化が急務となっています。
 同日付の新聞では、こうした深刻な児童虐待がふえて続けていることを受けて警察庁は、来年度から全国の警察が取り扱った虐待の疑い、兆候事案の情報を一元化するデータベースの運用を始めるとのことです。全国の警察が昨年、虐待の疑いがあるとして児童相談所に通告した18歳未満の子どもの数は6万5,431人で、統計をとり始めて以来13年連続で増加しており、この中には区市町村で対応したほうがよいような案件も含まれていると考えられます。
 警察と区との間でこれまで以上に情報を共有して連携していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 次に、2問目の子育て世代包括支援センターについてです。
 先ほどの御答弁で、「ゆりかご・めぐろ」は子育て世代包括支援センターの機能を果たしているけれども、まだまだ課題が残るということでした。では、「ゆりかご・めぐろ」のこれまでの実績を踏まえた上で、区としては課題をどのように捉えていて、国が求める子育て世代包括支援センターの整備に取り組んでいくのか、再度伺いたいと思います。
 次に、防災についてです。
 先週月曜日もゲリラ豪雨により、お隣の世田谷区では時間110ミリという猛烈な雨が降りました。それにより、目黒区内では冠水や浸水の被害が相次ぎ、目黒川では、一時的にですけれども、青葉台観測所で氾濫危険水位を超えるという報道もありました。
 本区では、こうした水害への対応として、通常版の防災行動マニュアルでは風水害用のページを設けて、どのように備えたらいいか、そういった周知・啓発を行ってきています。ところが、障害をお持ちの方、介護が必要な方のための防災行動マニュアル、こちらのほうには風水害用のページ、そういったものはなく、地震への備えのものしか記載がありません。台風や豪雨の際は、障害をお持ちの方や介護が必要な方などはすぐに避難することが難しいため、日ごろからどのような行動すべきかという知識や実際の訓練が必要だと考えます。これからまだまだ台風シーズンが続くことからも、災害要援護者向けの防災行動マニュアルに風水害用のページを新たに追加するなどマニュアルの見直しも必要だと考えますが、いかがでしょうか。
 最後に、暑さ対策についてです。
 文部科学省の学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議が取りまとめた災害に強い学校施設の在り方についてという報告書では、地域の避難所となる学校施設は、地域住民の受け入れや避難所の運営に必要なスペースや備蓄等を確保するとともに、避難生活に必要な情報通信、電気、ガス、給排水等の機能を可能な限り保持できるよう、代替手段も含めた対策をあらかじめ講じておくことが重要であるとしています。
 既に風水害は、何年に一度かの異常気象によるものではなく、このように毎週、毎年のように起こるということを考えると、既に異常ではなく、通常に起こるという認識を持つべきだと考えます。風水害は毎年起こるということを考えると、避難所の暑さ対策はスピード感を持って進めるべきだと考えますが、このような認識を持って、地域避難所となる学校の体育館などの整備はどのような機会に行うことが考えられるか伺います。
 以上です。

○青木英二区長
 それでは、4点にわたる御質問に順次お答え申し上げます。
 まず1点目の警察との連携でございますけれども、今、私ども、要保護児童対策地域協議会で児童相談所、目黒で言うと両警察署も入っていただいて情報交換をいたしておりますけれども、さらに連携の強化ということで、実はきょうの午前中の議会運営委員会で、私ども今後、両警察署と協定を結ぶ旨の御報告をさせていただいております。本会議中の10日の所管委員会で御報告するというふうに聞いてございますので、そのとき詳細にまた御報告を申し上げたいと思っておりますけれども、議員御指摘のような強化をさらに強めていくという方向で対応してまいりたいというふうに思っているところでございます。
 それから、2点目の子育て世代の包括支援センターについてでございますけれど、今、私ども「ゆりかご・めぐろ」では、先ほど申し上げたように、2,700名を超える方々が、妊娠届をお出しした85%の方がこの「ゆりかご・めぐろ」を御利用いただいて、大きな役割を担っております。ただ、例えば御自宅に帰られたときの産後ケアの問題ですとか、これは目黒区だけではありませんけれども、お子さんが病気になった、けがをしたときの対応、特に小児科医、これはもう目黒区だけではなくてどこでも非常に不足をしていますから、こういった小児科医の皆さんとの連携、こういったことが今課題として考えられるかなというふうに思っておりますが、こういったことをしっかりと整備しながら、私ども「ゆりかご・めぐろ」をさらに充実を図りながら、子育て世代の包括支援センターとして大きな役割を担っていくように、早急な対応を進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
 それから、3点目ですけれども、災害時の要配慮者についての風水害についての考え方でございますが、私ども今日まで、例えば平成16年の8月に国の地震調査委員会から首都圏で地震の起きる割合が、マグニチュード7の起きる割合が70%というふうに言われております。いつ地震があってもおかしくないということが言われておりますので、そういったことを踏まえて、率直に申し上げて、地震対策によりウエートをかけてきたということはあろうかと、確率の問題としてそれはあろうかというふうに思います。
 ただ、今、議員御指摘のように、本当に19号、20号、そして現在21号と台風が連発をして、災害は忘れるころにやってくるんですが、忘れないうちにやってくるという現状でございますので、災害時要配慮者の方々も含めて、風水害への対応というのは今後しっかり、マニュアル等も含めて対応していかなければいけない課題だというふうに認識して、しっかりとした対応を災害時要支援者等も含めて行ってまいりたいというふうに思っているところでございます。
 それから、4点目の学校施設、特に避難所の暑さ対策ということでございますけれども、私どもは今、38の地域避難所を持っておりまして、全てたしか体育館だったというふうに認識してございます。そもそも体育館ですから、体育をする施設として私ども今日まで整備をしてきております。そういうことで、これはうちだけではありません。ほとんどの自治体が例えば冷房設備は持ってございません。例えば室外機の問題などもあって、近隣との対応、それから置くスペース等もなかなかありませんので、そういった対応にならざるを得なかったわけですが、そういった中でまず対応としてできることとして私どもミスト扇風機、それから大型扇風機などを置かせていただいておりますけれども、これは根本的な対応ということにはなかなかならないわけです。今回、岡山県倉敷市に派遣した職員からも報告を受けていますけど、電源の問題なんかも非常に、今の電源のキャパシティーではとっても難しいということですので、私ども2つのステップに分けて、ステージに分けて、あした起きる可能性があるわけですから、まずは、今の状況の中でしっかりとした対応を行っていく。今後については、それぞれ学校の、これから区有施設の見直し等もございますので、そういった中でしっかりとした対応を考えていきたいというふうに思っております。
 以上です。

○おのせ康裕議長
小林かなこ議員の一般質問を終わります。
次に、11番いいじま和代議員。
〔いいじま和代議員登壇〕

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