令和元年第3回定例会(第1日 9月 5日)
開催日:令和元年 9月 5日
会議名:令和元年第3回定例会(第1日 9月 5日)
○宮澤宏行議長
区政一般について質問通告がありましたので、順次これを許します。
13番小林かなこ議員。
〔小林かなこ議員登壇〕
○13番(小林かなこ議員)
私は、自由民主党目黒区議団の一員として、質問通告に基づき、区政一般に関して質問をいたします。
初めに、この夏も前線に伴う大雨や台風により、特に九州地方を中心に記録的な被害が発生し、多くの方が被災されました。政府は激甚災害に指定する方針ですが、被災地域の一日も早い復興をお祈りするとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
また、一昨日も横浜市ではゲリラ豪雨が帰宅時間帯を直撃し、約5,000人に避難勧告が出され、都市災害の危険性も増してきています。
区民の命を守る安全・安心な目黒のまちづくりの一層の強化を求め、質問に入ります。
第1問目、景観や安全・安心なまちづくりに寄与する無電柱化の進め方について伺います。
これまでの国の無電柱化の推進は、新設電柱の抑制がメーンでしたが、依然として1年間で約7万本の電柱が増加し続けています。このような現状を打破するため、国土交通省は、本年3月25日、無電柱化推進のあり方検討委員会において、占用制限の活用により、既設電柱の撤去を推進していくことを提案しました。
無電柱化推進のトレンドは、新設電柱の抑制は、もはや当然で、既設電柱をいかに減らしていくかという第2フェーズに入っています。
目黒区では現在、東邦大学大橋病院前の320メートルの無電柱化を平成27年度から進めているところですが、このたび原町一丁目7番・8番地区の防災街区整備事業の中でも無電柱化が進められることになりました。原町一丁目7番・8番地区は、防災上、住環境上、にぎわい形成上の課題を抱えています。
今般、防災街区整備事業の活用により、特徴ある駅前環境を形成しながら、不燃化の促進とあわせて、商店街や地域交流の活性化を実現できるまちづくりが実施されることになりました。この事業において、防災性に配慮した歩行空間の確保を目的とし、令和5年度までに西小山にこま通り商店街の一部などが無電柱化される予定です。
にこま通りは、日中は買い物客でにぎわい、朝夕は多くの通勤区民が利用するだけでなく、向原小学校への通学路でもあり、保育園児も多数利用する区道です。道路の幅員は非常に狭く、店舗もすき間なく配置されているため、地震や火災などの災害時には電柱の倒壊による人身被害、店舗損壊、救援・救助の妨げ、火災の延焼など、深刻な被害が想定されます。こうした、にこま通りの一部が今回の防災街区整備事業において無電柱化されることは、景観の向上と商店街のにぎわい創出のみならず、安全・安心なまちづくりの面で大変意義があります。
しかしながら、にこま通りは西小山駅から補助46号線までの長さがあるため、今回の防災街区整備事業で無電柱化されない残りの部分については、既存の電柱とクモの巣のように電線が広がるこれまでの商店街の姿がそのまま残ってしまいます。これは商店街のにぎわい創出上、景観上、防災上、大変大きな問題です。このため、地元の声も踏まえて、今回の防災街区整備事業と同調して、補助46号線までのにこま通りも無電柱化を進めるべきです。
これまで何度も見直しを要望してきた平成17年改定の電線類地中化整備基本方針については、2年前の第4回定例会において、私の一般質問に対し、区長からは、平成32年度に基本方針を改定する予定との答弁がありましたので、現在、区ではその改定に取り組んでいると思いますが、今後の無電柱化の進め方について考えを伺います。
続きまして、第2問目の1点目、家庭福祉員制度の定年について伺います。
本区の場合は、家庭福祉員、いわゆる保育ママさんは65歳で定年を迎えますが、知識も経験も豊富なベテランの保育ママさんたちには、地域の保育に長く貢献していただきたいと、大田区など近隣の区では定年を70歳とするところがふえています。
家庭福祉員制度は、保育園では得られない家庭的な環境での異年齢保育、小人数を対象とするきめ細やかな保育が受けられるという特徴があります。こうした保育を望む保護者のニーズに応え、また保育の質を確保していくという観点から、保育ママさんたちの定年延長について、ことし3月の予算特別委員会でも質問させていただいたところです。1点目として、現在の検討状況を伺います。
次に2点目、本制度については、現在、現場の保育ママさんたちが自己負担で、それぞれの保育ママさんの紹介や利用者の声などをまとめ、保護者が見やすいようにカラーコピーをした手づくりの冊子を作成して制度の周知を図っています。目黒区のホームページには制度の概要が掲載されているだけで、江戸川区など他区と比べても制度についての情報量は多くはありません。家庭福祉員制度は本区の事業でもあることから、制度の周知拡大に向けた今後の区の対応について伺います。
最後に第3問目、将来を見据えた目黒区の教育が目指す学校のICT化について伺います。
目指すべき次世代の学校・教育現場を実現するために、文部科学省では本年6月、小・中・高校などでのICTの活用について、新時代の学びを支える先端技術活用推進方策をまとめました。AIなどの技術革新が進むソサエティ5.0という新たな時代に対応するためには、学校教育も変化していかなくてはなりません。子どもたちの学びの質を高めていくために先端技術を導入することは、あったほうがよいという存在から、なくてはならない存在になっています。
目黒区内の小・中学校でも、不登校などの理由によって、ほかの子どもとともに学習することが困難な子どもや、発達障害の可能性のある子ども、日本語指導が必要な子どもなど、多様な特性を持った子どもたちが同じ教室にいることが見受けられます。
こうした状況が見られる中、文部科学省は、多様な子どもが誰ひとり取り残されることなく、未来の社会で羽ばたく前提となる基礎学力を確実に身につけるとともに、社会性・文化的価値観を醸成していくことが必要であるとし、多様な子どものひとり一人の個性や置かれている状況に最適な学びを可能にしていくこと、つまり、公正に個別最適化された学びを進めていくことが重要であるとしています。
ハード上や利活用上の課題がある中でも、学校のICT環境は、文房具と同様に、教育現場において必要不可欠であるとの考えから、文部科学省では世界最先端のICT環境の実現に向け、ロードマップを年度内に作成する予定です。新しい令和の時代となり、これからの目黒区の教育が目指す学校のICT化について、教育委員会としてどのようなビジョンを持っているのか伺います。
次に2点目、ICT環境を整備していくことは、子どもたちへの効果的な学びや支援ができるだけでなく、教職員の校務の効率化、そして事務仕事の負担軽減などが大いに期待されます。
先ほど申し上げた文部科学省の最終まとめの中では、基盤となるICT環境の整備について、超高速で大容量の通信が可能となるサイネットの初等・中等教育への開放に向けた準備の加速、パブリッククラウド活用の積極的推進、ICTを活用した指導力の育成や専門性を持った人材の育成・確保を進めるとしています。
本区では、この4月から学校ICT課が新たに設置されたところですが、現在の進捗状況について伺います。
以上です。(拍手)
〔青木英二区長登壇〕
○青木英二区長
小林議員の3点にわたる御質問に、順次お答え申し上げます。
なお、3点目につきましては、教育委員会所管事項でありますので、教育長からお答えをいたします。
私も冒頭、今お話がありました集中豪雨、心から一日も早い復興をお祈り申し上げたいというふうに思います。防災協定を結んでおります大分県臼杵市、中野五郎市長に御連絡を私からさせていただきましたが、臼杵市は今のところ大きな問題はないということと、区民の皆さんによろしくお伝えくださいというお話もございましたので、あわせてお話を申し上げておきたいというふうに思います。
まず、1点目であります。
景観や安全・安心なまちづくりに寄与する無電柱化の進め方についてでございますが、原町一丁目7番・8番地区につきましては、西小山街づくり整備計画等に基づき、防災性の向上等を図るため、防災街区整備事業により、建物の共同化とあわせて、区域内の道路については事業組合による無電柱化が計画されているところでございます。
この結果、にこま通り商店街については、7番・8番街区に面した道路については無電柱化されることとなりますが、補助46号線までの残りの区間は無電柱化の予定はない状況でございます。
にこま通り商店街の道路幅員は現状で約4メートルと狭く、補助46号線までの残りの区間を無電柱化するに当たっては、地上機器の設置等に必要な場所をどのように確保するかが課題でございます。
当該地域では、西小山駅前地区地区計画で、建物の建てかえに当たり、壁面の後退を規定しており、建てかえが進む中で、道路に面した一定の空間を確保することで、無電柱化を進めることが可能となると思われます。
このように、本区の区道の平均幅員は4.8メートルと23区で最も道路幅員が狭いことから、道路幅員が狭い地域における地上機器等の設置場所の確保や、新たな地中化の技術開発など、無電柱化に向けた取り組みを進める必要がございます。また、地域の方々の無電柱化推進に対する御理解・御協力も不可欠でございます。
区といたしましては、実施計画に電線類の地中化を位置づけ、無電柱化を推進することとし、昨年度は都の支援策であるチャレンジ支援事業を活用して、狭隘な区道の無電柱化やコストの縮減に向けた検討を行うため、基礎調査を行ったところでございます。
さらに今年度は無電柱化を着実に進めていくため、目黒区無電柱化推進計画の策定に向け、取り組みを行う予定でございます。取り組みに当たりましては原町一丁目7番・8番地区や周辺の木密地域などの狭隘な道路における取り組みやコスト縮減など、本区の特性を踏まえた検討を行ってまいりたいと存じます。
次に第2点目、家庭福祉員制度についての第1問、保育の質を確保していくという観点から、家庭福祉員の定年延長について、検討を伺うについてでございますが、目黒区の家庭福祉員制度は、保育士、看護師などの一定の資格を持った保育者が家庭福祉員の自宅などの家庭的な環境で生後6カ月から3歳未満の乳幼児を保育する制度で、地域型保育事業の家庭的保育事業とは異なる区独自の制度でございます。お預かりする人数は3人から5人といった小人数の保育を行うもので、区立保育園と連携を図りながら、これまでの乳児保育の充実に大きな役割を担ってまいりました。
令和元年度におきましては、6名の家庭福祉員が合計定員19人で乳児保育を行っております。令和元年4月1日時点の区の保育所等の待機児童数は79人と、前年度の330人から251人減少しましたが、そのうち78人はゼロから2歳の乳児でございます。家庭福祉員は、そのゼロから2歳児の保育を担っていることから、待機児童対策として大きな役割を果たしているところでございます。
家庭福祉員制度のさらなる充実を図るため、家庭福祉員の皆様とは毎年懇談の機会を設け、より安全な保育を行うための方策や補助制度、事業の効果的なPR方法などについて意見交換を行ってまいりました。
現在は家庭福祉員の定年は65歳としておりますが、65歳を超えても健康で元気に働いている方はたくさんおり、区立保育園におきましても、多くの方が非常勤職員や臨時職員として適切に保育を行っております。
保育におきましては、保育者が身体的にも精神的にも健康で、安全な保育を行うことができることは必須の要件でございます。また、保育の質の観点からは、保育の経験年数といったものも重要な要素でございます。
目黒区の家庭福祉員の皆様は、長年保育に携わってきていることから、豊富な経験や知識を有しており、今後の目黒区の保育において、質の維持向上を図るためにも重要な役割を担っていくものと考えております。
国におきましても、人口減少と少子高齢化の問題を踏まえ、豊富な経験や知識を有する高齢者が、意欲のある限り、年齢にかかわりなく働くことができる社会の実現を目指しており、高齢者の就業促進を進めております。区におきましても、高齢者の活躍を推進していくことは重要課題の一つであると考えておりますので、定年延長につきましては前向きに検討してまいりたいと存じます。
次に第2問、目黒区独自の家庭福祉員制度の周知拡大に向けた今後の対応についてでございますが、家庭福祉員制度は、目黒区の待機児童対策におきましては、待機児童の多い乳児の保育に重要な役割を担っているものと考えております。
保育を必要とする保護者の中には、認可保育園などでの集団保育ではなく、自分の家以外のもう一つの家として、家族や兄弟・姉妹のような環境の中で、保育士と子育ての楽しさを共有しながら、健やかな子どもの成長を育む家庭的な保育を希望する方もいらっしゃいます。また、集団保育へ進む前のワンステップとして小人数保育を希望している方もいらっしゃいます。家庭福祉員制度はそのような多様なニーズに応えるものとなっており、目黒区のさまざまな子育て支援事業の中で大事な役割を担っているところでございます。
現在の家庭福祉員制度は、開所時間が原則として月曜日から金曜日の9時から17時の8時間であること、また個人で保育を行っているため、家庭福祉員が年次有給休暇や夏季休暇を取得した場合などには、区立保育園での緊急一時保育などでの対応が必要となることから、利用できる家庭が制限されるといった課題がございます。このため、保育施設の入所申し込みの人数は、認可保育園などと比較すると、決して多いとは言えない状況でございます。
区では、家庭福祉員制度につきまして、保育課の窓口等で配布している「保育施設利用のご案内」やホームページ等で周知を図っており、平成30年度におきましては、ホームページにおいて、より目立つように、トップページに一定期間、御案内を掲載したところでございます。また、窓口において入園相談を受け付ける際には、家庭福祉員制度についても丁寧に説明しております。
御指摘のありました家庭福祉員の皆様が独自で作成しております冊子につきましても、保育課の窓口で配布するほか、毎年行っている保育施設利用申し込み説明会におきまして配布して、周知に努めているところでございますが、このような御協力に対し、区としても応えていく必要があると考えております。
今後も引き続き、地域の子育て支援に御尽力いただけるよう、家庭福祉員制度の効果的な周知方法につきましては、他区の手法も参考にしながら検討を進め、適切に支援してまいりたいと存じます。
以上、お答えとさせていただきます。
〔尾﨑富雄教育長登壇〕
○尾﨑富雄教育長
小林議員の第3点目、将来を見据えた目黒区の教育が目指す学校のICT化につきましては、教育委員会所管事項でございますので、私からお答え申し上げます。
まず第1問、目黒区の教育が目指す学校のICT化のビジョンについてでございますが、文部科学省は、これから到来するソサエティ5.0時代を見据え、子どもの力を最大限に引き出す学びを実現するため、新時代の学びを支える先端技術活用推進方策の最終まとめを本年6月に公表いたしました。
内容といたしましては、新時代に求められる教育のあり方を踏まえ、教育現場でICT環境を基盤とした先端技術や教育ビッグデータを活用する意義と課題を整理し、今後の具体的な取り組み方策をまとめたものと認識をいたしております。
新しい時代を生きる子どもたちを育む学校教育においては、文章の意味を正確に理解する読解力、計算力や数学的思考力などの基盤的な学力はもちろんのこと、膨大な情報から何が重要かを主体的に判断し、みずから問いを立てて、その解決を目指し、他者と協働しながら新たな価値を創造できる資質・能力を育成していくことが必要でございます。
また、子どもの多様化に正面から向き合うことが、新しい時代の学校教育にはますます重要となっております。
発達障害やその可能性のある子ども、日本語指導が必要な子どもなど、多様な特性を持った子どもが誰ひとり取り残されることなく、未来の社会で羽ばたくことができるよう、知育・徳育・体育を一体的に育むことが大切でございます。子ども一人一人の個性や置かれている状況に最適な学びを可能にしていく、いわゆる、公正に個別最適化された学びを進めていくことが重要であると認識しており、学校のICT環境を基盤とした先端技術や教育ビッグデータの活用が新しい学びを支える大きな要素の一つであると考えております。
教育委員会といたしましては、国の方針などを踏まえ、学校や関係部局、外部人材等との連携を十分に図りながら、新しい時代の学校及び子どもの学びを実現するため、長期的な見通しを持って、学校のICT化を進めてまいりたいと考えております。
次に第2問、学校ICT課の新設と現在の進捗についてでございますが、学校ICT課は、学校現場における教育用・校務用の両システムの運用管理を行うとともに、学校におけるICT化を早急かつ適切に推進していくために新設したところでございます。
学校のICT化の進捗につきましては、実施計画に学校のICT環境整備を掲げ、昨年9月には学校ICT環境整備方針を改定し、計画的に教育用ICT機器の更新整備を進めてまいりました。更新整備の内容といたしましては、ICT機器類のさらなる活用の促進、及び教員の負担軽減のため、区立小・中学校の全教室に電子黒板機能つきプロジェクターの設置を整備の大きな柱としております。
また、国が示しております2018年度以降の学校におけるICT環境の整備方針の目標水準を参考に、順次、タブレット型コンピューターの整備や、普通教室などにおけるネットワーク環境の改善のほか、校務用のシステムにつきましても機器の更新時期を迎えたことから、この8月に機器の更新を完了するとともに、情報セキュリティーの向上に努めたところでございます。
今後の学校のICT化に係る取り組みにつきましては、新学習指導要領に即し、計画的に進めていくことが不可欠であり、このため、令和2年度を目途に学校の情報化の推進に係る計画を策定する予定でございます。計画策定に当たりましては、ICT機器の選定や安定的なネットワーク環境の構築、教員のICT機器を活用した指導力の向上や外部専門スタッフの活用などの課題を整理する必要がございますことから、現在、先進自治体の取り組み状況などの情報収集に努めております。
また、プログラミング教育など、新学習指導要領への的確な対応や、教員の働き方改革のための校務用システムの改善、教育用・校務用情報を連携した学校現場におけるデータの利活用を図るとともに、パブリッククラウドの活用などによる効果的・効率的な環境整備手法の検討を行ってまいります。
さらに、児童・生徒が日常的にICT機器を活用することから、学校現場の情報セキュリティーの強化を目的とし、情報セキュリティーポリシーを今年度中に策定するとともに、研修の実施などを通して、教職員の意識向上を図ってまいります。
いずれにいたしましても、学校におけるICT化の推進は、新しい時代の学校教育に欠くことのできない重要な要素であり、さまざまな検討が必要となりますことから、今後も学校や関係部局との連携を十分に図りながら、鋭意取り組みを進めてまいりたいと考えております。
以上、お答えとさせていただきます。
○13番(小林かなこ議員)
それでは、再質問させていただきます。
まず、無電柱化についてですが、先ほど区長の御答弁の中にも地上機器そのものの設置をどう確保していくかが課題であるというふうに述べられていました。多くの方が無電柱化には賛成をいたしますが、実際に地上機器、いわゆるトランスボックスを設置するという段階になると、自分の家やお店の前にトランスボックスを置くという人はなかなか多くは出てきません。
今後の目黒区内における無電柱化を速やかに、確実に、そしてしっかりと進めていくためには、こうした地上機器、いわゆるトランスボックスの設置について、どうやったら区民の理解、協力を得て進めていけるかということも、今後はより具体的に検討していく必要があると思います。
そこで、例えばお隣、品川区の戸越銀座商店街、また鎌倉の小町通りなどの商店街で現在実施されている街路灯と一体となった柱状型の変圧器を用いた、いわゆるソフト無電柱化という手法を取り入れている自治体が今ふえています。トランスボックスの設置場所の確保が困難な場合には、こうしたソフト無電柱化の手法も視野に入れて、行政と住民の方々が一緒に視察に行くなど、住民の理解、協力を求めて、早期かつ確実に今後の目黒区の無電柱化を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、ICT化についてです。
平成27年4月に施行された地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律によって、総合教育会議が全ての自治体で設置されることになり、本区でも設置がされました。
文科省の法律改正の概要によりますと、総合教育会議の設置を法律で義務づけた背景として、首長は、予算の編成、執行、条例案の提出など、教育に関する大きな権限を持っているものの、余り教育に口を出さないほうがいいのかなと思っており、一方、教育委員会側は、予算の権限を持つ首長はどう考えているのかなと思っており、首長と教育委員会は相互に密接な関連を持っているにもかかわらず、相互の連携ができていないことが指摘されました。
平成29年3月付の文科省の「地方自治体のための学校のICT環境整備推進の手引き」においては、教育の情報化は、ほかの教育事業に比べると、ICT機器等の環境整備のための予算確保や人材確保等のコストが比較的大きな事業である。総合教育会議では、首長が教育行政に果たす責任や役割が明確になり、こうした場を通して、環境整備のための予算確保の共通理解を図っていくと記載されており、文科省はまさにこの総合教育会議の場で予算確保を含めたICT環境整備を協議することを求めていますが、残念ながら、本区の総合教育会議の議事録を見る限りでは、ICT環境整備の協議はまだ始まっていないようです。
他区と比べてもおくれている目黒区のICT環境の整備を加速させるために、教育長として、目黒区総合教育会議の場などにおいて議論を始める必要があると考えますが、いかがでしょうか。意気込みを伺います。
以上です。
○青木英二区長
それでは、無電柱化についてお答え申し上げたいと思います。
1つは、ソフト無電柱化について、それからまた、行政と地域の方とともに視察など行ったらどうかという御質問でございます。
無電柱化について、最大の隘路、問題は今御指摘のように、トランスボックスをどうするのかということにあります。トランスボックスは大きな場所もとるということでございますけれども、今お話があったソフト無電柱化については、今お話があった防犯灯、街路灯の上に一定、変圧器などの設置がされるということですから、私ども目黒区は4.8メーター平均、非常に区道が狭いということですので、こういったソフト無電柱化というのは、今後、検討に値するものではないかなという認識はいたしております。
いずれにしても、現在私ども、目黒区の無電柱化の推進計画を策定しておりますので、こういった中で、今御指摘のあるソフト無電柱化についてどう位置づけしていくか、検討していきたいというふうに思います。
それから、視察について、これは非常に大事な御指摘で、地域の方と御一緒に行く、無電柱化というのは非常に、都立大学もそうでしたが、長時間かかります。夜、掘削工事をやって騒音などもありますので、地域の方の御理解が絶対不可欠でございますので、地域の方々と御一緒に視察などをして、意識の共有、情報の共有を図っていくということが、今後この無電柱化にとってスムーズに進むということでございますから、こういった位置づけも今申し上げた計画の中でしっかりと検討していきたいというふうに思っているところでございます。
以上でございます。
○尾﨑富雄教育長
それでは、第2点目の、学校におけるICT環境の整備に向けた検討について、総合教育会議の場などが考えられないかという御質疑でございますけれども、確かに新しい時代における学校のICT環境整備を進めるに当たりましては、区長部局との密接な連携の強化が不可欠というふうに私どもも認識をいたしているところであります。
そのために、総合教育会議の場を含め、さまざまな会議体が考えられるところであります。私どもといたしましては、最も効果的・効率的な会議体により、区長部局との積極的な、そして活発な議論や意見交換を通して、新しい時代における学校教育の環境整備を進めてまいりたいというふうに思っております。
当面は新学習指導要領が求めております、いわゆるイメージとしてのステージ3というものがございますけれども、当面はこれを目指してまいりますけれども、将来的には、議員御指摘のように、ビジョンを持ちながら、先々のことも考えながら、目黒区の区立の学校におけるICT環境整備については積極的に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
私からは以上でございます。
○宮澤宏行議長
小林かなこ議員の一般質問を終わります。