令和 3年第1回定例会(第4日 2月24日)
開催日:令和 3年 2月24日
会議名:令和 3年第1回定例会(第4日 2月24日)
○そうだ次郎議長
以上で答弁の訂正を終わります。
次に、13番小林かなこ議員。
〔小林かなこ議員登壇〕
○13番(小林かなこ委員長)
私は、自由民主党目黒区議団の一員として、質問通告に基づき、区政一般について大きく2点質問させていただきます。
第1点目の第1問、区内障害者福祉施設の製品の販路拡大について伺います。
今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で区内の様々なイベントが中止や延期となり、障害者福祉施設においても、例年であれば施設のお祭りなどに大勢の人が訪れ、障害を持った方々とゲームをしたり、ミニ演奏会を一緒に聴いたりするなど楽しい時間を共有していましたが、今年度は感染拡大防止のため、こうした催しは行われませんでした。
地元のクラフトビレッジ西小山でも、昨年秋のオープン以来、月に1回程度、区内の障害者福祉施設が自主製品の展示販売を行っていましたが、2度目の緊急事態宣言を受け、現在は感染拡大防止のため、販売は3月まで一旦中止とのことです。地域のイベントや施設のお祭りなどにおける自主製品の展示販売は、これまでも施設にとって大きな収益につながる機会となっていましたが、今年度はこうした影響で施設の収益と利用者の方々の工賃の減少が大変懸念されます。
政府は、昨年2月から新型コロナウイルスへの対応に伴う就労継続支援事業の取扱い等についての事務連絡を現在までに7報出しています。そこでは、新型コロナウイルスへの対応に伴い、障害福祉サービス事業所等の運営にも影響が及び、特に就労継続支援A型、B型事業所においては、生産活動収入の大幅な減少も予測されることから、経営改善計画の作成や就労継続工賃の支払いに係る取扱いのほかにも様々な対応を示すなど、各都道府県指定都市または中核市において特段の配慮を求めながら柔軟に対応を行っているところです。
こうして国としても対応を行っているところですが、本区としてもポストコロナを見据え、この先の区内障害者福祉施設の収益や利用者の安定した工賃につながるよう、しっかりと販路拡大を行っていくことが必要です。
区立施設を活用して販売の機会を増やしたり、これまで以上に贈答用や季節の製品のセット販売促進を図るなど、新たな工夫が必要ではないか、所見を伺います。
続きまして第2問目、障害者福祉施設の製品のカタログ販売の展開やオンラインショップによる販路拡大について伺います。
新型コロナウイルス感染症拡大防止による外出自粛要請を受け、ステイホーム期間中は大手ネットスーパーなどの需要が一気に高まり、アプリでも簡単に注文できる飲食のデリバリー業者が急増しました。感染リスクを考え、外出を控え、自宅からインターネットでショッピングを行う消費者が増加し、いわゆる巣籠もり消費によって買物をする場所が店舗からECサイトへと移り変わってきました。
総務省統計局の家計消費状況調査によるネットショッピングの、この1年の支出額の推移を見てみると、昨年4月の緊急事態宣言以降、ネットショッピングの支出額と利用世帯の割合は共に右肩上がりで上昇しており、2人以上の世帯のネットショッピングにおける昨年の平均結果を見てみても、食品、家電、家具は一昨年に比べ55.9%の増となり、新型コロナウイルスの影響で家にいながらネットショッピングをするスタイルがかなり浸透したことがうかがえます。
そこで、目黒区の障害者福祉施設の販売方法はどうかというと、基本的には店頭販売のスタイルです。
区では、平成29年3月に、区の障害者福祉施設のオリジナル製品を紹介する「めぐろはんどめいどぐっず」のカタログを発行しており、写真とイラスト入りで自主製品と施設の情報を紹介し、区のホームページでもその内容を見ることができます。
事業所の中にはQRコードを掲載して携帯用のサイトに飛べるところもありますが、そこは製品の紹介のみで、そのページから購入することはできず、購入するには直接施設に出向くか、問合せをしなくてはなりません。施設ごとにオンラインショップの展開となると、施設の負担が一気に増え、本来の目的である就労支援に大きな影響が出るおそれがありますが、区内外問わず、より多くの方に自主製品を知ってもらい、購入につながる販路拡大の1つの手段としてインターネットの活用は大きな効果が期待できます。
そこで、今後、区としてのカタログ販売の展開やオンラインショップによる販路拡大について所見を伺います。
次に、大きな2点目として、性自認に関する理解推進と意識啓発について伺います。
以前より、我が会派からは、SOGIについての理解推進の必要性について議会で訴えてまいりましたが、昨年3月には、性の多様性を尊重する社会を目指すために、目黒区男女が平等に共同参画し、性の多様性を尊重する社会づくり条例が改正、施行されました。そして、昨年4月には、目黒区性的指向及び性自認に基づく困難等の解消に向けた対応指針が作成され、区の事務事業全般にわたる基本的な考え方が示されました。
本来であれば、今年度は条例改正の内容について周知啓発に係る事業が行われる予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で中止となってしまったため、これから様々な形での周知啓発がされていくことだと思います。
今回は性自認に関しての質問をさせていただきますが、性自認とは、自己の性別についての認識のことで、心の性と呼ばれることもあります。生物学的、身体的な性、出生時の戸籍上の性と性自認が一致していないトランスジェンダーの方や男女のどちらでもないと思うXジェンダー、どちらの性か分からない、意図的に決めていないクエスチョニングの場合もあり、性の在り方を表す用語は、現在、これらだけでは表せないほど多様です。
性自認は、本人が自分の性をどのように認識しているかであるため、自認に沿って施設の利用ができづらいことや、自認する性と体のギャップで自分の性自認を肯定的に受け止めることができずに悩んだり、偏見や差別に苦しんでいる人も少なくありません。こうした悩みを抱えている人は、自分のすぐ身近なところにもいるかもしれないという意識を持って理解を深めていかないと、無意識のうちに人を傷つけるような言動をしてしまっている可能性も十分にあります。まずは、そういった点に気づくことが大切だという意味で、本区の条例改正と区の対応指針ができたことは、区民の方々へこうした理解を深めていくための第一歩になったと思っております。
さて、昨年4月には、通算9回目となる国内最大級のLGBT関連イベント、東京レインボープライドがコロナ禍の中、オンラインで開催され、期間中、視聴者は43万人を超えるなど、この数年で性の多様性の理解促進に向けた社会的機運が高まり、国内外で性的指向、性自認に関する取組が行われるようになっています。
国でも性的指向を理由とする偏見や差別をなくそう、及び性自認を理由とする偏見や差別をなくそうを強調事項として掲げ、啓発冊子の配布や啓発映像の作成、配信、シンポジウムや研修会などの各種啓発活動を実施しています。
しかし、まだまだ性的指向と性自認の問題が混在されてしまっていたり、LGBTと性同一性障害とが混同され、誤った理解がされてしまっていたり、言葉や単語自体は知られてきてはいても、社会全体としての理解はまだまだ十分ではありません。
性の多様性についての社会的理解が十分に得られていない状況では、性自認の尊重の捉え方あるいは説明の仕方については、時にトラブルが発生し、結果的に社会的理解の推進を阻害する場合があるということも想定する必要があるのではないでしょうか。一人一人の悩みがそれぞれ違うことや、そういうことさえも知らないということが無意識のうちに誰かを傷つけ、排除していることにつながっているかもしれないということを知るきっかけとなり、知ることで見えてくるものや世界があります。こうした社会の醸成には、国内外様々な事例を紹介しながら多様な性を認め、そして理解するという区民一人一人の意識の涵養が不可欠ですが、条例の中では、区の推進施策の一番初めに、区民、事業者、区の職員、教員等に対する意識啓発に係る施策が掲げられています。性自認について、区民の意識がどのようなレベルにあるのかを定期的に調査、分析するとともに、その意識レベルに応じて丁寧に啓発、涵養に係る推進施策を取るべきであると考えますが、区の見解を伺います。
檀上からは以上です。(拍手)
〔青木英二区長登壇〕
○青木英二区長
小林議員の2点にわたる御質問に順次お答え申し上げます。
まず第1点目、区内障害者福祉施設の製品の販路拡大についての第1問、安定した工賃につながる販路拡大として、新たな工夫が必要についてでございますが、障害のある方が地域で生活を送るための基盤として、就労や生産活動の機会の提供、就労に必要な知識、能力向上のための必要な訓練や支援を行うことは極めて重要であると認識しているところでございます。
障害者総合支援法に定める就労系障害福祉サービス事業所では、企業からの受注作業や1つ1つ丁寧に作った自主製品を販売することで利用者の工賃を確保しております。利用者に支払われる工賃は、生産活動に関わる事業収入から事業に必要な経費を控除した額に相当する金額となっておりますことから、生産活動の収入を安定的に確保することが工賃の向上につながってまいります。
国においては、工賃向上計画を推進するための基本的な指針を定め、対象となる事業に対して工賃向上計画の作成を求めており、各事業所では目標とする工賃を設定しているところでございます。
区におきましても、目黒本町福祉工房に併設する福祉の店「さんまるしぇ」では、区内の障害福祉施設で作られたパン、弁当、焼き菓子などの商品、革小物や布製品などの雑貨を販売し、店内に飲食スペースを設けて自主製品の販路拡大に取り組んでおります。販売された自主製品の代金は、提供いただいた各施設に全額お支払いし、施設で働く利用者の工賃となっております。
また、安定的な販売場所を確保するため、総合庁舎やめぐろ区民キャンパスでは、昼の時間帯に区内障害福祉施設を対象に自主製品の販売スペースを提供しているところでございます。
今年度は、新型コロナウイルスの感染症の影響に伴い、区主催のイベントや地域の行事、障害福祉施設でのお祭り等が中止となりましたことから、区内の就労系障害福祉サービス事業所では工賃の減少が見込まれており、工賃向上のための一層の取組が求められているところでございます。
こうしたことから、自主製品の販売拡大を図るため、西小山再開発地区における販売場所を事業所に提供するとともに、令和3年度にはめぐろ区民キャンパス内に新たな福祉の店を開設し、季節に応じた限定製品やセット販売の促進、多様な交流機会の場となるよう、工賃水準の向上のみならず、障害理解の推進のための店舗の開設を目指しているところでございます。
また、障害就労支援事業所の運営による区民センター内レストランにおきましては、感染拡大の影響もあり、閉店となっているところでございますが、令和3年度から区民センターの利用者等に対して飲食を提供するとともに、障害者に多様な雇用の機会を提供することといたしました。
区といたしましては、今後とも各事業所で就労する障害のある人が仕事を通じて社会と関わりを持って働くことの喜びや達成感を得ながら地域で自立した生活を過ごせるよう、自主的な販路拡大に努めてまいります。
次に第2問、より多くの方に区内障害者福祉施設の製品を知ってもらい、購入につながるようカタログ販売の展開やオンラインショップによる販路拡大についてでございますが、各施設における自主製品の販売は、実際に商品を手に取って購入できる店頭販売を行っております。店頭販売では現金払いとなっておりますが、庁舎内等での一時的な販売場所での対応が可能であること、決済手数料が不要であるため販売額がそのまま工賃に反映できること、売上金をすぐに回収でき、未回収のリスクがないこと等の利点がございます。
議員お尋ねの通信販売やインターネットを通じてのオンラインショップによる販売方法は、直接店舗に行く必要がないため場所が限定されないこと、24時間365日の販売が可能であること、スマートフォンやタブレット端末から気軽に注文できること、店舗を持たないため、運営にかかる費用が少なくなること等の利点がございます。
一方、オンラインショップでは、クレジットの支払いが主たる決済となるため、カード会社に手数料を支払う必要があることや販売するための店舗に相当するインターネットショップが必要になり、運営会社の特徴や販売手数料を踏まえて多様な運営形態から効果的な販売方法を選択する必要がございます。区内の障害福祉施設におきましては、障害のある方を対象とした支援施設であることから、こうしたインターネット販売のノウハウを持っている人材を配置することは障害者総合支援法で定める障害福祉サービス給付費による施設運営を踏まえますと、各事業所で対応することは困難な状況にあるところでございます。
しかしながら、総務省の家計消費状況調査によると、コロナ禍での消費においては、対面の買物からインターネットを利用した支出が増加している傾向が見られます。新型コロナウイルスの感染予防としての新しい生活様式が浸透し、場所や時間の制約を受けないオンラインショップによる販売方法につきましては、まずは来年度に新たに開店する福祉の店の運営で検討を進めてまいります。
これまでも、区では障害福祉施設の自主製品を集めたカタログ冊子「めぐろはんどめいどぐっず」を製作するとともに、区報やホームページでクリスマスやお正月の期間、限定品の案内をするなど、様々な情報発信を行ってまいりました。店舗販売、カタログ販売、オンラインショップのいずれかの販売形態におきましても、自主製品の魅力を高めていくことが今後ますます重要になってまいります。
新たに開店する福祉の店では、売れ筋商品を各事業所に情報提供するとともに、より多くの方々に商品の魅力を発信して購入につながる店舗を目指しているところです。
工賃向上の取組は、各事業所が生産活動を工夫し、工賃水準のさらなる向上を目指すものでございますが、区といたしましても、自主製品をより多くの方々に送っていただくための情報発信と販売方法のさらなる工夫により、工賃向上につながる取組を引き続き推進してまいります。
次に第2点目、性自認に関する理解推進と意識啓発についてでございます。
本区におきましては、目黒区男女が平等に共同参画し、性の多様性を尊重する社会づくり条例が目指す地域社会の実現に向けて、令和2年4月に性的指向及び性自認に基づく困難等の解消に向けた対応指針を作成し、区職員及び教職員が理解を深め、困難等を抱える人の悩みや相談に区の組織全体として適切に対応できるよう取り組んでいるところでございます。
性的指向や性自認が非典型である方は、社会生活を送る上で多くの困難に直面しており、その困難の多くは社会生活における様々な場面において、性の多様性の視点がないことや周囲の理解不足による偏見や差別に起因するものでございます。そのため、性自認を含め、性の多様性に関する理解を幅広い層から得ることが大切であると認識してございます。
本区では、平成28年度から現行の男女平等共同参画推進計画に施策の方向として、多様な性の在り方への理解促進を掲げ、啓発事業を実施してまいりました。今年度は、条例改正の周知に係る経費を議決していただきましたので、記念講演会を実施する予定でございましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で実施を見合わせることといたしました。
そこで、区民の方への啓発につきましては、区報に性の多様性の大特集を組み、基礎知識や当事者の声を掲載したほか、ホームページへの掲載、総合庁舎でのパネル展などを行いました。
今後は、男女平等・共同参画センターにおいて、トランスジェンダーの方を取り巻く困難等を題材とした映画の鑑賞会を予定しております。
さらに、最新の男女平等・共同参画センターだより「であいきらり」では、当事者の方に執筆を依頼し、性の多様性に関する特集記事を掲載いたします。
また、事業者の方への啓発につきましては、区作成の冊子「企業と人権」、「みんな輝く」を配布し、企業経営における人権や性の多様性への配慮などを呼びかけました。あわせて、チラシ、パンフレット等の配布を通じて条例改正の趣旨を周知してまいります。
加えて、職員への啓発につきましては、係長1年目研修など昇任時に行う人権研修の中で、様々な人権課題の1つとして性の多様性尊重を取り上げたほか、当事者の方を講師に招き、区職員を対象とした研修を実施し、窓口での応対や事業の実施など、適切に対応できるよう理解の深化に努めました。また、教職員への啓発は、教育委員会を通じて行っております。
平成30年度の目黒区人権に関する意識調査では、性的指向及び性自認が非典型である人への差別が存在していると認識する人は、回答者全体の8割強を占めました。また、人権を守るためにすべきこととして、回答者全体の6割弱が正しい理解を深めるための教育、啓発活動を進めることを掲げましたが、年代別でばらつきも見られました。
いずれにいたしましても、性自認に関すわる理解推進や意識啓発は、決して、一朝一夕に進むものではございません。今後も性の多様性に関する関心を広く喚起していくとともに、人々の意識を調査等から的確に把握し、それぞれの意識の持ち方などに応じて内容や伝え方を検討し、時間をかけて丹念に意識啓発に取り組むことで、区民の方、事業者の方、区職員、教職員の理解を着実に促進してまいりたいと考えております。
以上、お答えとさせていただきます。
○13番(小林かなこ議員)
それでは再質問1点、販路拡大について伺います。
オンラインショップに関してですが、区内の福祉施設にインターネット販売のノウハウを持った人材を配置すると。それは難しいということは理解できますので、例えば、今、インターネット上で障害者福祉施設の専門販売をしているようなサイトもあります。こういったサイトを参考にしてみるだとか、あとは、区内の障害者福祉施設のそれぞれの魅力を広く発信していけるように、SNSなども駆使しながら、インターネットをうまく活用して積極的に様々な形で魅力発信を進めていっていただきたいと思います。
ぜひ新しい従来にはない形で様々な工夫をしていっていただきたいと思いますが、最後にその点だけ、いかがでしょうか。
○青木英二区長
今、私どもは、御指摘のとおり、特にインターネットなどを通じてそれぞれの事業所で作られた自主製品を広く御紹介して、もしオンラインで販売が可能ならば、そういうことができれば新たな取組だというふうに思っております。
ただ今、私ども、所管のほうに確認もしてるんですが、公募の条件として、ぜひワークショップですとか、作品を展示する、そんなことも公募の条件に入れているというのは聞いておりますので、新しい考え方、また、そういったオンライン等を使いながら、広く区民の皆さんにこういった障害者の皆さんの自主製品が広く伝わっていく、また、購入をしていただいて、それが工賃に還元できる、そういった取組をしっかりとしてまいりたいというふうに思っております。
以上でございます。