平成30年第1回定例会(第7日 3月23日)
開催日:平成30年 3月23日
会議名:平成30年第1回定例会(第7日 3月23日)
○佐藤昇議長
松嶋祐一郎議員の討論を終わります。
次に、5番小林かなこ議員。
〔小林かなこ議員登壇〕
○5番(小林かなこ議員)
私は、自由民主党目黒区議団を代表して、議案第20号、平成30年度目黒区一般会計歳入歳出予算案の認定に当たり、賛成の立場から討論を行います。
東日本大震災から7年の歳月が経過した今、私たちに求められるのは、未曽有の震災があったこと、そして被災地で今なお苦しんでいる方々が大勢おられることを忘れないこと、そして、その経験を減災に生かすことです。
その上で、私たちができる支援を継続していくことが重要であり、我々自由民主党目黒区議団も、行政、そして区民の皆様と力を合わせて、復興支援に引き続き取り組んでまいります。
また、ことしは平昌で冬季オリンピック・パラリンピックが開催され、パラアイスホッケーでは目黒区出身の堀江航選手が出場し、健闘されました。2年後の2020年に向けて、目黒区も平昌冬季オリンピック・パラリンピックの成功例、失敗例をしっかりと学び、国と東京都との連携をより一層強化して、目黒区独自の取り組み準備を加速していかなければなりません。
それでは、平成30年度一般会計予算編成について、まず国の概況から見てまいります。
安倍内閣は、一億総活躍社会の実現に向けて、新三本の矢を一体的に推進しています。この経済政策により、現在の景気回復期間は戦後2位のいざなぎ景気を超える長さとなるなど、景気回復の長期化を実現しています。具体的には、就業者数が185万人増加し、若者の失業率が5.1%と、1993年以来の低水準となるなど、雇用環境が改善しています。
また、働く人全体の所得が24兆円増加し、消費も緩やかに持ち直しています。さらに、企業収益や税収が増加し、年金運用益も確保するなど、もはやデフレではない状態を実現しています。
こうした状況を受け、東京都の平成30年度予算案はセーフシティ、ダイバーシティ、スマートシティの3つのシティの実現に向けた取り組みの加速化などのため、一般会計歳入歳出ともに2年ぶりのプラスとなっています。東京都は、より一層めり張りをきかせながら東京2020競技大会の開催準備を加速化させていくとしています。
以上のような国の施策及び東京都の予算を受け、目黒区の平成30年度予算案は、平成30年度を初年度とする実施計画の改定案をしっかりと予算化することを基本としつつ、昨年9月に策定した平成30年度行財政運営基本方針に定めた3つの重要課題、安全・安心な地域づくり、子育て支援、教育の振興と福祉を充実する取り組み、良好で快適な環境とにぎわいのあるまちづくりへの対応を積極的に進めていくとしています。
このため、一般会計の予算規模は950億円余で、過去10年間で最大となっています。一般会計歳入予算は、地方消費税交付金の減少があるものの、区民税及び法人住民税の増加により、一般財源全体で前年度比4億6,000万円の増加となっています。
また、一般会計歳出予算は、保育所待機児童対策やさまざまな子育て支援の充実などにより、健康福祉費が45億1,000万円余の増加となるなど、全体を俯瞰すると、健康福祉費が予算総額の53%に達する状況となっています。
冒頭で述べましたが、現在の景気は戦後2位のいざなぎ景気を超える好況ですが、東京2020競技大会後には大きな景気後退局面も予想されています。このため、平成30年度は好況後に備える極めて重要な1年であり、今まで以上に先を見通した施策が必要です。しかも、平成30年度は、実施計画、行革計画、財政計画の基本3計画を同時に改定する年度でもあります。
我が会派は、こうした状況を踏まえ、基本3計画を将来の社会動向への洞察に基づき改定することにより、区民生活の着実で持続的な改善を推進すること、地域コミュニティー施策のあり方を区と区民の協働により実現、促進すること、区有施設見直しによる区有資産の最大限の有効活用など、将来予想を見据えた予算編成、区政運営を求めます。
以下に、このたび我が会派の委員から各所管へ提案、質問されたことをもとに、意見・要望を申し上げます。
まず、財政について。東京2020競技大会の終了に伴う景気後退の影響を受け、2021年度からは本区の歳入が減少することが予想されることから、これまで我が会派が求めてまいりました基金の積極的な積み増しは必要不可欠です。
そして、新しい財政計画が発表されましたが、こうした景気の動向を見きわめ、収支のバランスをとりながら、必要な財源を確保していっていただきたいと思います。
たばこ税の取り組みについては、受動喫煙対策と両立したたばこ税の減収対策についてもしっかりと議論していくことを求め、ふるさと納税については、本区の地理的、歴史的特性から、ふるさと納税の対象として美術館やパーシモンホールの活用なども含めた芸術文化施策を導入することを要望いたします。
次に、企画経営部門についてです。区有施設の老朽化、複合化に向けた再整備計画については、アベノミクス効果で税収の増大が見込めるこの2年間のうちに優先順位をしっかりとつけて速やかに実行すること。区民センターを初め、区有施設の老朽化、複合化に向けた再整備計画を推進することを求めます。
次に、情報発信の多様化については、若い世代や子育て世代に地域の情報や区政情報を伝える手段の一つとして、地域SNSを積極的に活用すること。また、このたび整備に取りかかる公衆無線LANにおいては、今後は防災の観点からも、災害時に安定して運用できる仕組みづくりが望まれます。
次に、職員の人材育成について。業務の継続と組織の新陳代謝を図るために、専門分野については民間人材を活用し、また、多くの知見を持つ退職者を有効かつ積極的に活用することを求めます。
公契約条例については、入札や契約において、工事請負案件だけでなく、いわゆる物件案件についても同等に扱うようにすることを要望いたします。
次に、防災については、防災士資格取得者へのフォローアップ。避難所運営協議会に対しては、運営本部単体での助成金支給の実現、ことし東京都が指定を予定している区内25カ所の土砂災害警戒区域についてのマップ作成など、対策の強化、口腔ケア備蓄品の整備を望みます。
また、感震ブレーカーに関しては、目黒本町五丁目・六丁目、原町・洗足エリアだけでなく、本年の東京都地震危険度公表に基づく、祐天寺一丁目を初めとした木密地域全域における感震ブレーカー助成適用のさらなる緩和と危険度対策を求めます。
次に、区民生活部門です。コミュニティ施策については、次期基本計画のもととなる生活圏域整備計画自体の今後の取り扱いを廃止を含め検討していくことを求めます。
また、来月からは、新たな国民健康保険制度がスタートいたします。一般財源を法定外に繰り入れることは極力抑制すべきという基本的な姿勢を崩さず、国民健康保険制度を将来にわたって安定化させていくことを求めます。
そして、目黒区への人口獲得の一助となるよう、婚姻届提出時のメモリアルボードの設置については、速やかな対応を求めます。
さらに、昨年友好都市を締結した金沢市との交流支援促進だけではなく、気仙沼市、角田市、臼杵市などとの関係もより一層強固にし、交流を促進していくことも要望いたします。
次に、健康福祉部門について。自殺防止対策としてのゲートキーパーのさらなる養成支援と、子どもや若年層対策の強化を求め、健康福祉、障害者福祉の充実策として、新しく建設される特別養護老人ホームなどの計画の際には、四中跡地のような選定基準を標準化し、リハビリ施設の充実を図ることを要望いたします。
次に、民泊については、多くの外来者が目黒区を訪れる可能性を想定し、不特定多数の往来に対応した犯罪抑止策や防犯対策をさらに拡充することを求めます。
次に、子育てについてです。待機児童対策については、平成32年4月の待機児童ゼロを目指して、引き続き待機児童解消に向けた取り組みを加速化することを求めます。
次に、保育所利用者負担金、いわゆる保育料の見直しについて、受益者負担及び応能負担の観点から保育料の見直しは必要ですが、保育施策の充実等の検討も忘れてはなりません。保育園児の支援施策として、使用済みおむつを公費で廃棄処分にするなど、保育サービスの拡充も検討することが求められます。あわせて、第2子の保育料については、将来的には無料にするなど、保育料へのさらなる配慮も求められます。
そして、待機児童問題の次に来るのは、待機学童保育と児童館未整備の問題です。放課後子ども総合プランに基づき、教育委員会と連携して、今後は空き教室を利用するなど、小学校内への設置を進めていくことが求められます。
児童相談所の設置については、先日、大変痛ましい事件が発生したことから、二度とこのようなことが起こらないように、これまで以上に東京都の児童相談所と目黒区子ども家庭支援センターなどの連携が不可欠となります。そこに至る前に子どもを救っていこうという視点で、児童相談所の開設を視野に入れ、専門職の配置を含め、まずは目黒区の子ども家庭支援センターのさらなる体制強化を求めます。
都市整備部門については、我が会派が要望したシェアサイクル事業が試行的にスタートすることから、PDCAによる事業評価を行い、十分に活用される事業として組み立てていただくことを求めます。
そして、目黒区は高齢者人口が多いため、コミュニティー交通網の必要性は今後一層高まってまいります。コミュニティワゴン等の導入を含め、近隣自治体への調査のための職員派遣などをして、目黒区のコミュニティ交通網を発展、充実させることも要望いたします。
環境清掃部門については、東京2020競技大会を前提とした国の受動喫煙対策をもとに、屋外喫煙所の場所など、真の受動喫煙対策が実現できる環境整備を要望いたします。
教育部門について。区立中学校の統合は、区民の方々の関心も高い事業の一つです。これまでさまざまな角度から課題整理が行われてまいりましたが、計画どおりに着実に進めていただくことをお願いするとともに、目黒区という地域性を鑑み、区立の小・中学校が区民に積極的に選ばれる存在となるための公教育の魅力をさらに高めていただくことを求めます。
そして、いじめ、不登校を未然に防ぐための、長期休み前後の臨時電話相談窓口の開始や、相談体制を強化することも求められます。
以上、予算特別委員会において、我が会派の委員から各款、各項で申し述べた審議内容を十分反映されることを要望し、議案第20号、平成30年度目黒区一般会計歳入歳出予算の認定に際し、自由民主党目黒区議団の賛成討論といたします。(拍手)
○佐藤昇議長
小林かなこ議員の討論を終わります。